軟部外科
会陰(肛門付近)ヘルニア
『椎間板ヘルニア』の章で、
「「ヘルニア」続きで、次回は「会陰ヘルニア」について綴ります」と記載していながら、
今日に至ってしまいました。。。。。。。。f(^ ^)
『ヘルニア』とは、「穴が開く」というニュアンスですから、
『会陰ヘルニア』とは、
肛門付近に穴が開く。という事で、
「うんち」を出そうとしても、腸がそこに落ち込んでしまい、便が出ない、という状態になります。
実際の症例です。 お尻の周りに糞便が溜まっています。
そして、これを手術で整復するにあたって、
長らく、この方法が用いられて来ました(私は「三角締め」と呼んでいます。)
綺麗なカラーイラストで解り易く、詳細に記載されているので、20年以上前の本であるにも関わらず、
いまだ世界中の外科医に愛用されています。
しかし、
今ではこの方法では、まず成功しません。。。。。。。。。。。
というのも、
「会陰ヘルニア」になる症例のほとんどが肛門挙筋がヒ薄化(ペラペラで脆弱)している為に、
筋肉の癒合が悪くヘルニアを形成してしまうからです。
その為、さらに上部の「尾骨筋」と「外肛門括約筋」とを縫い合わせてから、
「内閉鎖筋」を骨盤から剥がしてパッチのように貼り付けて縫い合わせなければ上手く行かない事が殆どです。
また、重症な例では、私は太ももの筋肉である「半膜(半腱)様筋」も張り合わせて再発を防ぎます。
かなり筋肉を後ろ足から剥ぎ取る事になるのですが、
ワンちゃんは普通に歩いています。
この筋肉を取り除いても「歩行」に何の支障も無い、という事を見つけた先人にただただ脱帽するばかりです。
カテゴリ|軟部外科
- 【犬】会陰ヘルニア整復術 5歳 チワワ
- 【犬】膀胱結石の摘出術 part2 ~大量の結石~
- 【犬】膀胱結石の摘出術
- 【犬】胆嚢摘出術『胆泥症及び胆管閉塞』
- 【犬猫】「子宮蓄膿症と乳腺腫瘍」の症例から考える避妊手術のススメ
- 【猫】1歳猫の横隔膜ヘルニア ~去勢手術の術前検査で発見!~
- 【犬】トウモロコシの芯の誤飲 ~開腹摘出手術2例~
- 【犬】陰睾(潜在精巣)手術 ~精巣腫瘍のリスクを下げるため~
- 【犬】心嚢水(心タンポナーデ)の心膜切除術 11歳ラブラドール
- 【猫】生後1カ月の猫ちゃんの開腹手術~外傷性の横隔膜ヘルニア~
- 【犬】内視鏡を用いた胃瘻チューブ設置
- 【猫】肺の異物切除術~なぜ植物の茎が肺に?~
- 【犬】直腸癌における直腸プルスルー法(引き抜き術)
- 【犬】会陰ヘルニアの「半腱様筋の筋弁転移術」
- 会陰(肛門付近)ヘルニア
- 60匹のフィラリア摘出術
- 「久しぶりに見た巨大な癌」の切除
- CTの効用!!