軟部外科
【犬】内視鏡を用いた胃瘻チューブ設置
今回は内視鏡を用いて、胃瘻チューブを設置した症例をご紹介します。
胃瘻チューブって何?
胃瘻チューブって何?と疑問を持たれている方もいると思うので、まずは胃瘻チューブについて簡単に説明します。
胃瘻=いろう と読みます。
口から食事のとれない子や病気で食欲が落ちている子などに、直接胃に栄養を入れる栄養投与の方法です。
鼻からのチューブや食道チューブに比べ、胃瘻チューブの場合は太いチューブを使うことが出来るため、たくさんの栄養を与えることが可能です。
チューブから食事を与えるときは、シリンジ(注射器)を使って食事を注入します。
そのため、チューブの途中で詰まらないような流動性のあるものを与えます。
胃瘻チューブの設置
今回は、下顎骨に悪性腫瘍ができてしまい、食事をすることが困難になったワンちゃんに胃瘻チューブを設置しました。
※手術中の写真があるためご注意ください。予めご了承いただいた場合のみお進みください。
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STEP1 まずは胃瘻チューブを設置する場所に、外側から管を刺します
☟外側
☟お腹側
STEP2 外側から管を通してお腹の中に紐を入れて、内視鏡で紐を引っ張ります
☟内視鏡の先につけた鉗子(かんし)で紐を掴みます
☟慎重に引っ張り出します
STEP3
口から出てきた紐と胃瘻チューブを結び、再びお腹の中に引っ張り戻します
☟胃瘻チューブです
☟紐と胃瘻チューブを結んでお腹に戻しているところです
☟紐を外側に向けて引っ張っています
☟お腹側です
STEP4
さらに紐を引っ張り、胃瘻チューブをお腹側から外側に引っ張り出します
☟外側
☟お腹側
STEP5
チューブを最後まで引っ張って固定します
☟外側
☟お腹側
開腹手術をせずとも、チューブ設置ができて、動物さんの負担も非常に少ないです!
※胃瘻チューブは胃酸で溶けない特殊な材質でできています
胃瘻チューブというと「かわいそう」とか「管理が大変そう」と拒否感を持たれる方が多いかと思います。
ただ、実際は動物さんたちはチューブをあまり気にせずに許容してくれますし、飼い主様の管理も思っている以上に楽です。
ご飯が食べられないとみるみる痩せてきてしまいますし、病気の回復も困難になってきます。
「かわいそう」といったマイナスなイメージばかりが先行せずに、チューブ栄養のメリットを知っていただければ幸いです!
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