心臓病
【犬】心タンポナーデ(心臓病)
先日、心タポナーデのワンちゃんの手術を行いました。
<心タンポナーデとは?>
心臓は心膜という袋に包まれており、
その間には若干の液体が存在しています。
腫瘍、外傷、感染症といった何らかの原因でこの液体が大量に溜まってくると、
ポンプの働きで血液を全身に送っている心臓は拡張することができなくなってしまいます。
この状態が「心タンポナーデ」です。
全身に血液を送る力が弱まるため、
元気や食欲の低下、腹部膨満、呼吸困難、虚脱といった症状が出てきます。
突然死のリスクもある怖い病気です。
<心タンポナーデの治療>
一般的には心臓と心膜の間に針を刺して、液体を抜く処置を行います。
液体がなくなった分、一時的にワンちゃんは楽になるのですが、
抜いても再び液体が溜まることが多いです。
また、突然死のリスクもあります。
もう1つ、手術で胸を開いて直接液体を抜くという方法もあります。
この方法をとると、再び液体が溜まることを防ぐことができます。
<今回の心タンポナーデ症例>
期間限定の秋冬健診でレントゲン検査をしたところ、
心臓が拡大していることがわかりました。
確定診断をするため、エコー検査を追加で行い、
心タンポナーデと診断されました。
以下は拡大した心臓のレントゲン写真。


先ほども記載したように、
針を刺して液体を抜いたとしても一時しのぎにしかなりません。
そのため、手術による処置を行いました。
実際に抜けた液体はコチラです。
液体には赤血球が含まれているため、透明ではなく赤い色をしていますよ。

手術後のレントゲン写真はコチラ。


違いが分かりづらいかもしれないので比較画像を。

水を抜いたことで、白いモヤがかなり小さくなっていることがわかると思います。
ただし、心タンポナーデは心臓自体が大きくなっているわけではありません。
それはエコー画像を見ると一目瞭然です!

赤丸で囲った臓器が心臓です。
左は手術前の画像で、心臓と心膜の周りには液体が大量にあり、
心臓は拡大することができない状態です。
手術後は液体を抜いたことで、心臓が拡大できているのがわかります!
※ちなみに上のエコー画像は、下図のイラストの向きです

この症例のワンちゃんは、手術後2日でご飯もたくさん食べて、元気な様子で一安心でした!
カテゴリ|心臓病
- 犬が突然倒れた…それはてんかん?それとも心臓の失神?
- 猫の「proBNP」が高いと言われたら -心エコー検査をおすすめする理由-
- 心雑音があるだけでピモベンダンを始めたほうがいいの?【獣医師が解説する「開始時期」の正解】
- 点滴で犬猫の心不全が悪化する?——知っておきたい「水のコントロール」
- セカンドオピニオンで見つかる「先天性心疾患の誤診」
- 犬の肺高血圧症、実は「歯石・歯周病」から始まることも
- 僧帽弁閉鎖不全症の新しいリスク評価法「MINEスコア2」
- 【犬猫】「呼吸が速い」は要注意?安静時呼吸数チェックで心臓病・呼吸器疾患を早期発見
- 【犬】忍び寄る心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)と「早期発見」の重要性
- 【猫】心臓病(肥大型心筋症)と「早期発見」の大切さ
- 【犬】心嚢水(心タンポナーデ)の心膜切除術 11歳ラブラドール
- 【犬・猫】循環器外来で発見した希少な3症例
- 循環器外来
- 【犬】心タンポナーデ(心臓病)
