犬が突然倒れた…それはてんかん?それとも心臓の失神?

犬が突然倒れたり、意識を失ったように見えると、多くの飼い主さんは「てんかん発作では?」と考えます。

しかし実際には、心臓の不整脈による失神が原因のことも少なくありません。

この2つは見た目が似ていても、

  • 原因

  • 危険性

  • 治療方法

がまったく異なります。

まずはその違いを知ることがとても大切です。

 

まず知ってほしい:失神とは何か

失神とは、心拍のリズムが乱れることで脳への血流が一時的に低下し、意識を失う状態です。

つまり、

  • 脳の病気ではなく

  • 心臓が原因で起こる症状

です。

特に犬では、不整脈によって突然倒れるケースが一定数見られます。

 

不整脈による失神の特徴

心臓が原因の失神には、次のような特徴があります。

起こり方
  • 興奮したとき

  • 運動中

  • 咳をしたあと

  • 立ち上がった直後

などに起こることがあります。

そして多くの場合、前触れなく突然起こるという特徴があります。

 

倒れ方・発作中
  • 力が抜けるように倒れる

  • 呼びかけに反応しない

  • 持続時間は 数秒~30秒程度 と短い

  • 手足がピクつくことがある(※失神性けいれん)

回復後
  • 急速に意識が戻る

  • すぐ立ち上がる

  • 何事もなかったかのように行動する

これが、不整脈による失神の大きな特徴です。

 

てんかん発作の特徴

一方、てんかん発作では次のような特徴が見られます。

起こり方

発作の前に

  • 落ち着きがなくなる

  • 甘える

  • 不安そうにする

などの前兆行動が見られることがあります。

 

発作中
  • 強い全身のけいれん

  • 手足の突っ張り

  • 激しい体の動き

  • よだれ

  • 失禁

発作は 1分~数分続くことが多い です。

 

 

発作後(とても重要)

発作が終わったあと、

  • すぐに元に戻らない

  • ぼんやりしている

  • ふらつく

  • 異常行動

などが 数分~数時間続くことがあります。

 

最大の違いは「回復のしかた」

見分ける上で最も重要なポイントはここです。

  • すぐ元に戻る → 心臓(不整脈)の可能性
  • しばらく様子がおかしい → 脳(てんかん)の可能性

この違いが、診断の大きなヒントになります。

 

なぜ「動画」がとても大切なの?

実際の診察では、発作の瞬間を獣医師が直接見ることはほとんどありません。

そのため、発作時の動画は非常に重要な診断材料になります。

動画があることで、

  • 倒れ方(力が抜ける/激しいけいれん)

  • 発作の長さ

  • 回復までの速さ

  • 発作後の様子

をより正確に評価することができます。

 

発作を撮影するときのポイント(安全第一)

もし可能であれば、次の点を意識して撮影してみてください。

  • 横から全身が映るようにする

  • 発作の開始から回復まで撮影する

  • 時間が分かるようにする

ただし、

  • 無理に口を触る

  • 体を押さえる

といった行動は危険なことがあります。

安全が最優先です。

危険を感じる場合は、撮影を優先する必要はありません。

 

どんな検査で原因を調べるの?

原因を調べるために、次のような検査を行います。

  • 心電図検査

  • 24時間ホルター心電図

  • 心エコー検査

  • 血圧測定

特に不整脈は、診察室では見つからないことも多いため、動画 + 心電図情報の組み合わせが非常に重要になります。

 

まとめ

  • 犬が突然倒れた場合、必ずしもてんかんとは限りません

  • 短時間で回復する場合は、不整脈による失神を疑います

  • 発作時の動画は診断の大きな助けになります

もし

  • 「てんかんと言われているが、回復が早い気がする」

  • 「発作の原因がはっきりしない」

  • 「突然倒れることがあり不安」

という場合は、

心臓の検査も含めて評価することがとても重要です。

 

循環器診療では、発作の原因が 脳なのか、心臓なのか を見極めることが治療方針を決める第一歩になります。

気になる症状がある場合は、どうぞ一度ご相談ください。

 

【当院からのお知らせ】

当院では、心臓の精密検査(レントゲン・心エコー等)に基づいた正確なステージ診断を行っております。「心臓の状態を詳しく知りたい」「お薬のタイミングを相談したい」という飼い主様は、お気軽に当院までご相談ください。

◆ 毎月4日間、循環器専門外来を実施しています。
◆ 完全予約制です。事前にご予約をお願い致します。

カテゴリ|心臓病

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