犬がかかりやすい病気
会陰ヘルニアの「半腱様筋の筋弁転移術」
先日、会陰ヘルニアの整復術を実施しました。
重度な会陰ヘルニアだったので、
「半腱様筋の筋弁転移術」 という少し珍しい術式を用いたので紹介します。
<会陰ヘルニアとは?>
犬の会陰ヘルニアとは、会陰部の筋肉(骨盤隔膜)の異常を原因とするヘルニアで、
会陰部の筋肉に隙間が出来てしまうことにより、
腸や膀胱、脂肪などの臓器が突出してしまう病気です。
主にオスのワンちゃんで多く、
7~9歳での発症が一般的です。
<こんな症状に注意!>
・会陰部の腫大
・しぶり/便秘
の症状が多いです。
その他にも、
・元気消失 ・食欲不振
・排便時疼痛 ・脱水
・血便 ・下痢
・会陰部疼痛 ・会陰部発赤
・会陰部の膿
といった症状を伴うこともあります。
<どうやって検査する?>
・問診(臨床症状の確認)
・触診による直腸検査
・バリウム注腸造影検査
などでヘルニアの状態を評価します。
どこが通常と違うかというと、
本来は青丸あたりにあるはずの膀胱が、
会陰ヘルニアによって赤丸の位置まで突出してしまっています。
※膀胱以外の内臓も突出しています
<どうやって治療するの?>
会陰ヘルニアの整復術には、
様々な方法が報告されています。
・ヘルニアの状態
・各手術に対する習熟度
・手術の簡便さ
・合併症の発現頻度
などを総合的に評価して判断します。
今回の症例は、他院で既に2回の会陰ヘルニア整復術を行ったものの、
ヘルニアの状態が想像以上に悪化しており、
再発をしてしまったワンちゃんです。
そこで、重度な会陰ヘルニアでも有効とされる
「半腱様筋の筋弁転移術」という術式を用いました。
太ももの筋肉を後ろ足から剥ぎ取り、
会陰部の周囲筋膜に縫い合わせます。
半腱様筋という太ももの筋肉を切っているのに、
ワンちゃんは普通に歩いているため、
この術式を見つけた人はすごい発見です!
↑手術前
↓手術後 正常な状態になりました
以下、手術中の写真を掲載しています。
苦手な方は閲覧を控えてください!
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太ももから、半腱様筋 をはがしています。
はがした半腱様筋を会陰部の周囲筋膜にに縫い合わせています。
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