【犬】心嚢水(心タンポナーデ)の心膜切除術 11歳ラブラドール

11歳のラブラドールのワンちゃんで心嚢水(心タンポナーデ)の心膜切除術を実施しました。

 

心臓と、心臓を覆っている心膜の間には心嚢(しんのう)液という液体があります。

 

心嚢液には

・心臓が拡張したり収縮するための潤滑油

・外部からの衝撃を和らげるクッション

といった役割があります。

 

心嚢水(心タンポナーデ)は心嚢液が様々な原因から大量に溜まってしまう状態です。

 

心臓の動きが抑制されることで、

・元気や食欲の減退

・呼吸困難

・血圧低下

・頻脈(心拍数が増加している状態)

などの症状が表れます。

 

溜まっている心嚢液の量にもよりますが、多くの場合、無麻酔下で穿刺(体外から血管・体腔内や内臓に注射針を刺すこと)にて抜きます。

ただし、今回は大型犬で心嚢液の量が多かったことから、心膜切除術を実施しました。

 

※手術中の写真があるためご注意ください。

かなりショッキングな写真のため、予めご了承いただいた場合のみお進みください。

①胸部の皮膚を切開しています

 

②術野を確保するため、鉤(手術器具)を使って他臓器をよけています。

 右下に白っぽく見えているのは肺です。

 

③心膜に注射針を刺して心嚢液を抜いています。

 ただ、あまりにも貯留液が多く、噴水のように噴き出してきました。

 

④ そのため、ハサミなどで心膜を切除して穴を開けました。

 穴にチューブを通して心嚢液を抜いています。

 

心膜に開けた穴は閉じずに手術終了です。

穴を閉じないことで、今後心嚢水が貯留することがなくなり、心臓の動きが抑制されることがなくなります。

 

心嚢切除は穿刺による抜水に比べると一時的な負担は大きいですが、定期的な穿刺からは解放されるメリットがあります。

 

当院の手術についてはコチラ

カテゴリ|心臓病

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