バークレー便り
先日、頭頚部の外科セミナー②に参加するため、名古屋まで行ってきました。
ワンちゃんは外耳炎の罹患率がとっても高いため、今回学んだことを多くのワンちゃんに還元できればと思っております!
頭頚部外科セミナー②
■日時:9月28日(木)
■会場:名古屋
■内容
頭頚部のcommonな外科疾患とその手術治療がテーマになります。耳道、鼓室、唾液腺や甲状腺で発生するさまざまな外科疾患と、そして口腔腫瘍に対する顎切除の手術のポイントを中心に解説していただきました。また、実習として、インターロックというテクニックを使いながらの真皮の縫合、皮膚閉鎖で必須の真皮縫合を合理的に行うための練習をしました。
犬の外耳炎&中耳炎
外耳炎は、動物病院にかかる病気の中でも最も多いもののひとつで、犬種や年齢関係なく、どの犬でも起こりえます。
治療をしっかり行わないと、中耳や内耳まで炎症が広がる可能性もあるので、早期治療が重要です。
中耳炎は、外耳炎ではみられないような症状が出ることがあり、治療しなければ内耳まで炎症が広がる恐れがあります。
外耳炎の症状
・耳をかく回数が多い
・耳をこすりつける
・耳からきつい臭いがする
・耳垢が増える
・頭を振る
・耳の穴周囲が赤い
・耳ダレが出る
など
状態が進むと、頭をひっきりなしに振ったり、耳の穴周囲に膿がこびりついていたりする様子もみられます。かゆみがひどい、痛みがある場合は耳を触られるのも嫌がります。耳をかき壊してしまい、周囲の皮膚にも傷が付いていることもあります。耳ヒゼンダニが原因の外耳炎では、大量の黒い耳垢が特徴的にみられます。
中耳炎の症状
・耳を痛がる
・耳を触られるのを嫌がる
・耳から悪臭がする
・耳ダレ
・頭を振り続ける
など
※重症化により神経症状が出た場合
・顔面神経麻痺
・ホルネル症候群(瞬膜が出てくる、瞳孔が小さくなる、まぶたが下がり目が小さく見えるなど)
診断
・臨床症状
・鼓膜の観察(耳鏡、オトスコープ)
・レントゲン検査
・超音波検査
・CT検査
など
治療
①耳洗浄
感染症へのコントロールとして、耳道深部を洗浄します
※軟性鏡を使用して塞栓物質の除去や鼓膜切開を行う場合もあります
②外科手術
重症度によって外耳炎や中耳炎は外科手術が適応となります。
例)外側耳道切開、垂直耳道切開、水平耳道切開、耳道亜全摘、全耳道摘出など
※末期ステージほど手術の難易度が上がり、合併症発生率も高まる
外科手術とならないよう、定期的な耳掃除や早期の内科治療が大切です。
ただ、中には内科治療に反応しないこともありますので、耳道内に著しい変容がある場合には外科治療が検討されます。
その他にも、
・猫の鼻咽頭ポリープ
・猫の甲状腺機能亢進症
・唾液腺の外科疾患
・顎切除術
などの術式について学びました。
難易度の高い手術についても学ぶことができ、非常に有意義なセミナーでした!