バークレー便り
人類と音楽は深いかかわりを持っており、太古の昔から音楽に慣れ親しんできました。
近年では「音楽を聴くことで癒されるのは、人間だけに限らない」ということが研究で明らかになってきました!
最新の研究結果をもとに、「動物と音楽」に関する情報を紹介します。
1.ワンちゃんと音楽の研究
コロラド州立大学の研究チームでは、小屋に入れた117匹のワンちゃんの
・行動
・活動のレベル
・吠え声
・身震い
などを以下の状況下で観察しました。
◆クラシック音楽を聴かせる
◆ヘビメタを聴かせる
◆何も聴かせない
結果としてはクラシックを聴かせた際にはよく眠り、リラックスすることがわかりました。
ヘビメタのような激しいロックの場合は、まったく逆の反応を示し、神経質になっている証拠である身震いが増えたという結果になりました。
クラシック音楽に対する反応は、犬も人間も同じで、動揺を抑え、睡眠を促し、気分を改善して、ストレスや不安を減らすことを示しているようです。
2.リラックス脳波が証明!動物も音楽でリラックス
ペットも特定の周波数を聴くと、人間と同様に脳波が変動します。
東京大学で以下実験を行ったそうです。
飼育されている動物の正確な認知活動を捉えるため、チンパンジーの頭部に電極を装着し、異なる周波数の音を聴かせた際の脳波を測定しました。
特定の周波数の音を繰り返し聴かせた後に逸脱音(異なる周波数の音)を聴かせた結果、脳波が変動して人間と類似した波形を示したとされています。
人間の脳は
・リラックスした状態
・緊張やストレスを感じた状態
など、心身のコンディションによって異なる脳波を発します。
リラックスした状態では主に「α波」が発せられ、反対にストレスを感じた場合は「β波」が優位になるメカニズムです。
人間の脳における「α波」はクラシックやネイチャーサウンドなどを聴くことで引き出すことが可能とされています。
先述した実験結果によって人間も動物も音に対して同様の脳波を示すことがわかり、人間がリラックスできる音楽はペットにも同様の効果があると考えられています。
3.飼い主さんがリラックスすると、ペットもリラックス
ペットの心理状態は飼い主さんに同調しやすく、飼い主さんがリラックスした状態であればペットもリラックスできます。
そのため飼い主さんが音楽を聴いて心地よい感覚を得られていれば、ペットもストレスを感じずに寛げるということです。
特にワンちゃん、猫ちゃんを筆頭とする知能が高い生き物は飼い主さんの感情を汲んで共感する能力が高いため、性格まで飼い主さんに似やすいとされています。
ペットと一緒に音楽を聴いて癒されたい時は、飼い主さんにとってリラックスできる好みの音楽や「α波」を引きだす作用があるクラシック音楽がオススメのようです。
注意点!個人差がありますので音に敏感な子は特に様子を見てあげましょう
人間の一般的な可聴域は40~17kHzであり、聞こえやすい周波数は1k~3kHzです。
一方でペットたちは人間よりも可聴域の上限が高く、
◆ワンちゃんは67~45kHz
◆猫ちゃんは60~47kHz
上記が標準的な可聴域とされています。
人間には聞こえなくてもペットたちは聞こえている高周波数の音が「超音波」であり、身近な例では医療や宝飾品の加工といった分野で使われています。
またペットたちは飼い主さんが帰宅する少し前から玄関で待ち構えていることがありますが、これは人間よりも遠くの音を認識・分析できるためです。
可聴域が広いことにより、周囲の環境変化に敏感な子もいます。
ペットにクラシックやネイチャーサウンドを聴かせて落ち着かない様子を示した場合は、聴かせるのを控えましょう。