バークレー便り
7月18日(木)に第4回CTセミナーを実施しました。
講師は第1回~3回で丁寧にご指導いただいているCTのスペシャリスト米地先生です。
第1回のセミナー報告はコチラから。
第2回のセミナー報告はコチラから。
第3回のセミナー報告はコチラから。
〜テーマ〜
CTによる門脈体循環シャントの診断
〜講師〜
奈良動物二次診療クリニック
米地 謙介 先生
今回は「門脈体循環シャント」という病気に特化してセミナーをしていただきました。
<門脈体循環シャントとは?>
本来肝臓に入るべき胃腸からの血液が、
「シャント」と呼ばれる異常な血管を経由して、
解毒されないまま全身を巡ってしまうことです。
胃腸からの血液にはアンモニアなど数多くの毒素が含まれており、
肝臓が身体に害となる毒素の解毒を行っています。
正常であれば、胃腸からの血液は『門脈』という血管を通じて肝臓内に入り、
そこで解毒を受けて全身を巡る血液循環(=体循環)に合流します。
門脈から体循環につながる血管に近道(=シャント)ができてしまっているため、
解毒を受けていない血液がそのまま体循環に混入してしまいます。
その結果、有害な物質が体の各所に届くようになり、様々な弊害を生み出します。
また同時に、肝臓が栄養失調に陥って小さく萎縮してしまいます。
この状態が「門脈体循環シャント」です。
〜門脈体循環シャントの主な症状〜
・肝性脳症に伴う異常行動
・食欲不振
・尿結石
・血尿
・1回の尿量が少ない
・おしっこの回数が多い
・尿酸アンモニウム血症
CT検査は『門脈体循環シャント』の確定診断やシャントの位置診断をする上で、
非常に診断精度の高い検査です。
オペ適応の門脈シャントの場合は、
シャントの位置診断が正確なためオペ時間の短縮にも繋がります。
門脈シャントがよく見られる犬種は
◆シェルティ
◆ミニチュア
◆シュナウザー
◆ヨークシャー・テリア
◆シーズー
◆ラブラドール・レトリーバー
などです。
これらの犬種の多くは先天性の異常が原因で、
若いうちに発症するケースがしばしば見られます。
日々の変化に敏感に気付いてあげる、定期検診をするなど心掛けてあげてください!!