バークレー便り
久しぶりの登場です。
気がつけば昨年末に更新して以来…月日が過ぎるのは早いですね。
先月は少しお休みをいただいて母校である鳥取大学病院主催の勉強会へ友人に誘われて行ってきました。
青田買い(今はあまり使わない言葉か??)もついでに…と思いきや学生がほとんどいない!私の頃は夜中の飲み会まで強制参加(の雰囲気)だったのに…
そのかわりに知り合いの先生からスカウトやら病院の紹介の話が私に…
その後の懇親会で大学の先生とも話をしていたのですが気がつけば獣医になってから10年になるようで、
早くに開業する獣医が多いことを考えると教授が気にするのも仕方ないかな。
ふらふらしてるから声をかけやすいのかもしれないですが(笑)いまだに気にかけていただけるのはありがたいことです。
それにしても10年なんてあっという間ですね。
以前いた病院は私が新人だろうがなんでもさせてもらえる(やらされる?)病院だったので、一年経った頃には600g程度の子猫の事故の手術なんかもやらされたりしました。
今考えてもよくそんなの新人に任せたなと思いますが…
おかげで診断から治療までの判断を一人でするようになるまで時間がかからずに済んだし、日本でおそらく報告されたことのない難病を診断し発表することもできました。
都会の獣医に負けるかー!って日頃から思っていたので、これが唯一の自慢(笑)
辞めるときに涙ぐまれる飼い主さんがおられたのにはびっくりしたけど、少しは信頼してもらえてたんだろうか。
受け持ってたこたちは元気にしてるかなーなんて今でも時々考えます。
とまぁ、相変わらず目的ないまま書き出すと日記みたいになってますが、地元兵庫に戻って迎える獣医師10周年(笑
どこにいようが自分の信念は変えず改めて頑張っていかなきゃと思う鳥取旅行でした。
さて、こんなことばっかり書いてても仕方ないので、ご家族に向けたお話を。
私たちが診察をしていて手術の説明をさせていただくときに、もう高齢だから全身麻酔を伴う手術は無理なんじゃないでしょうか?といった質問をよく受けます。
そうだねー歳だしねーってお答えすることもできるのですが、それだけしかお伝えできないと私たち獣医師の存在意義がなくなってしまうんじゃないだろかと思う。
麻酔に対するリスク評価に、ASA分類というものがあります。
麻酔をかける患者がどんな病気でどれくらい危険な状態なのかを大まかに分類する指標ですが、これに少し高齢である、というものは含まれません。
麻酔科医の判断によっても変わると思いますが、かなり高齢、となって初めて(class2)に分類されます。
class2 ですが、とある獣医大学病院の過去のデータだと麻酔死亡率は数千頭に一頭くらい(ちょっと記憶が定かでないですが…)
現在かかっている病気がどの程度影響を与えるのか、心臓や腎臓に問題はないのかが重要であって、
高齢だからといっただけで麻酔リスクが10%以上も跳ね上がるということはないと判断できます。(健康な患者での麻酔リスクは0.1%以下)
実際にずいぶん前に大学病院で手術を行った最高齢が20歳。とぼとぼしか歩けないこでしたが、手術後も変わらずとぼとぼ歩いて帰っていきました。
もちろん診察している獣医師の総合的な判断と綿密な麻酔計画が必要ですが、10歳こえているからもう何もできないよ、なんてことはないと思います。
当然ながら高齢になってからの方が手術が必要になる病気になってしまうことが多く、手術をするべきかどうか迷われるのは仕方ないことですが、本当に何も出来ないのでしょうか。
どうしても私たちも使いがちな(歳だから)ですが、積極的な治療を希望されるのであれば、
麻酔が必要な処置がどの程度そのこにとってリスクがあるのか、手術を行うことでどんなことが考えられるのか、納得がいくまでしっかり説明を受けられることをお勧めします。
まじめなことを書くと、なんか偉そうな感じになって嫌なんですけどね。
適当に書きすぎるとほんとにひとり言になるし、思ってることを書きすぎると毒をはきそうだし(典型的なB型なので…)
言葉で伝えるのって難しいなぁ…