バークレー便り
先日、大阪で開催された神経疾患のセミナーに参加してきました!
神経疾患セミナー
■日時:8月22日(火)、23日(水)、24日(木)
■会場:大阪
■内容
講師のDr.Bentleyはパデュー大学獣医学部の神経病学/神経外科学の教授で、脳神経外科手術のエキスパートです。今回のセミナーでは、Dr.Bentleyの真骨頂ともいえる脳外科手術・頭部MR検査・水頭症治療を中心に、術後管理まで含めた神経外科の包括的な講義をしていただきました。
<1日目>
MRIによる脳腫瘍の種類別鑑別
髄膜腫、神経膠腫およびその他の主な脳腫瘍のMRI診断について概説していただきました。
脳腫瘍手術1-アプローチと縫合
脳への最も一般的なアプローチには経前頭開頭術や吻側テント開頭術/頭蓋骨切除術が含まれます。その他のアプローチとしては、経テント頭蓋骨切除術と後頭下骨切除開頭術があります。これら4つのアプローチについて手術動画を用いながら、関連する解剖学的構造物と手術手技の説明していただきました。
<2日目>
脳腫瘍手術2-手術手技
髄膜腫と神経膠腫を摘出する手術手技をご紹介していただきました。
下垂体切除
最も一般的な下垂体腫瘍は、犬では下垂体依存性副腎皮質機能亢進症、猫では末端肥大症を引き起こします。経蝶形骨下垂体切除術症例の術前、術中、術後管理について包括的に概説していただきました。
水頭症に対する新しいVPシャントの開発
様々な水頭症のタイプについて概説していただきました。
<3日目>
COMSにおける手術手技
尾側後頭骨形成不全症候群(COMS)に対する大後頭孔拡大術について、そしてメッシュを使用した頭蓋形成術を含む様々な手術手技と、その予後についてもお話しいただきました。
脊髄腫瘍の手術
脊髄腫瘍には硬膜外腫瘍(例:脊椎の骨肉腫、硬膜外リンパ腫)、硬膜内髄外腫瘍(例:髄膜腫)、髄内腫瘍(例:血管腫)があります。アプローチには背側椎弓切除術や片側椎弓切除術が含まれます。最もよく見る病変である硬膜外腫瘍においては、脊椎切除の最大許容範囲について椎弓切除後の瘢痕形成の予防方法と合せてお話しいただきました。
犬の脳神経外科患者の術前および術後の総合管理
頭蓋内手術では、ある程度の神経症状の増悪が予想されます。脳外科手術前の抗けいれん剤の予防投与や、術中(±術後)の抗生物質投与、適切な患者のモニタリング、そして誤嚥性肺炎を防ぐための然るべき対策など、周術期の管理についてお話しいただきました。
脳外科や神経疾患については、なかなか学ぶ機会が多くないため、非常にためになりました!
今回学んだことを飼い主様と動物たちに少しでも還元できるように今後も精進してまいります。