症例日誌|加古川 バークレー動物病院

犬がかかりやすい病気

椎間板ヘルニアについて

椎間板ヘルニアはどの犬種でも発生し、動物病院でよく目にする疾患です。

そこで今回は椎間板ヘルニアについて紹介します。

 

 

椎間板ヘルニアとは

 

臓器や骨が本来あるべき位置からズレた状態を『ヘルニア』といいます。

椎間板ヘルニアは椎間板が脊髄側へと突出し脊髄を圧迫する疾患です。

 

その結果、圧迫部位の疼痛、下流の神経支配領域に麻痺が出てしまいます。

圧迫部位によって患肢の麻痺の出方に違いがあり、その違いがヘルニア部位特定の判断材料になります。

 

また、椎間板の突出の仕方も2種類あり、ハンセン㈵型/㈼型に分かれています。

それぞれ好発犬種や好発部位、症状の出方などに違いがあります。

 

頸部 :全体の15%

C2-C3に好発。頚椎後部に向けて発生が減っていきます。 疼痛のみが半数以上。歩行に支障をきたすのは15%ほど。

 

胸腰部:全体の85%

T12~L2に好発。胸椎や腰椎後部での発生はほとんどありません。 疼痛のみは10%ほど。ほとんどが歩行に支障をきたします。

 

【グレード分類】

G1:神経学的異常はなし。

背骨痛により、体に触れられるのを嫌がる。 普段できていた段差の昇り降りなどができない、抱きかかえると鳴き声をあげるなどの症状がある。

 

G2:足の不全麻痺あり/歩行が可能。

ふらつき歩行、すり足などが認められる。ナックリングと呼ばれる甲から足をつく異常がみられる。

 

G3:足の不全麻痺あり/歩行が不可。

足を動かすことはできるが、麻痺のため患肢で歩くことができない。

 

G4:足が完全に麻痺/浅部痛覚消失。

麻痺に加えて、排泄障害によって尿閉や失禁などを起こす。

 

G5:足が完全に麻痺/深部痛覚消失。

足の骨を鉗子でつまんでも全く痛みを感じない。

 

脊髄軟化症

このグレード5の重度脊髄損傷レベルのヘルニアの約10%に、脊髄軟化症という進行性の病気を発症することがある。

脊髄軟化症は、脊髄の強い障害が原因になって、脊髄が溶けて壊死する病状が進行していく病気です。

脊髄神経の融解壊死は全身に広がり、脳の延髄にも波及します。

症状は、麻痺などの神経症状や激しい痛みに襲われます。

予後は不良であり、進行も早く、この病気の治療法はありません。

やがて麻痺の症状は急速に拡大し、四肢麻痺、失禁、呼吸困難などの症状を伴って、数日から1週間程度で亡くなることも少なくない、余命に関わる重大な病気です。

 

また、グレード5では48時間以内に手術をしなければいけない、と言われています。

※現在では48時間以降の手術でも回復がみられる場合があることが知られています。

 

 

【検査:画像診断】

・X線検査

椎間板ヘルニアはX線検査で診断することはできません。

それは椎間板がX線透過性物質で画像に写すことができないからです。

X線検査では椎間腔の狭窄によって椎間板突出を疑うまでしかできません。

椎間板の石灰化がある場合には石灰化部が白く写ります。

 

・CT検査

脊髄と椎間板物質の存在およびその圧迫の程度を判断することができます。

 

・MRI検査

神経や血管、腫瘍などの軟部組織を描出することに優れているため、椎間板ヘルニアを初めとする脳神経疾患を診断する上で極めて有用な検査方法です。

軟部組織である脊髄そのものを描出することが出来るため、脊髄の状態(病変)やどんな物がどの程度脊髄を圧迫しているのか正確に把握することが出来ます。

仮に、椎間板ヘルニアでなかった場合、脊髄炎、脊椎狭窄症、脊髄梗塞、脊髄腫瘍、脊髄軟化症、変性性脊髄症など同様の症状をもたらす病気に診断を下すことが可能です。

 

 

【検査:神経学的検査】

 

姿勢反応・脊髄反射の有無を見ることでおおよそのヘルニア部位を特定できます。

神経の異常には、低下/消失と亢進があります。

神経伝達が遮断されたら下位の反射は消失するように思えますが、遮断点が脊髄中枢にある場合は神経伝達が中枢と下位神経との間を何度も往復してしまうため反射の亢進がみられるようになります。

 

検査法には以下のものがあります。

・姿勢反応:有意識

固有位置反応

踏み直り反応

跳び直り反応

立ち直り反応

手押し車反応

姿勢性伸筋突伸反応

 

・脊髄反射:無意識

膝蓋腱反射

坐骨神経反射

前脛骨筋反射

屈曲反射(引っ込め反射)

体感皮筋反射

肛門括約筋反射

交叉性伸筋反射

バビンスキー反射

 

 

【治療法:内科療法(G1~3)】

・コルチコステロイド

・メチルプレゾニゾロン(G1~2)

脊髄の急性炎症や浮腫を緩和する。

ステロイドは血行抑制作用があるため1週間の短期投与が一般的です。

その後徐々に投与量を減らしながら投与を終了していきます。

短期間のステロイド投与とケージレスト(2ヶ月)が内科療法の基本です。  

 

・コハク酸メチルプレドニゾロン(G3〜)

フリーラジカルによる神経細胞の壊死を防止できる唯一のステロイドです。

外科手術の有無に関わらず発症後早急(8時間以内)に投与を開始することが重要で、 それ以降からの投与開始は逆に脊椎への損傷を悪化させる恐れがあります。

通常の数十倍の投与量を数時間おきに投与するステロイドパルス療法を行います。

 

・PEG療法(ポリエチレングリコール)(G3〜/脊髄軟化症)

フリーラジカルを抑制する効果がコハク酸メチルプレドニゾロンよりも強い最新の薬です。

 

 

【治療法:外科手術(G3~5)】

再発を繰り返すG1~2やG3~5に適応。

 

頸椎部:腹側減圧術(ベントラルスロット)

のど側からアプローチし、椎体に穴を開け、逸脱した椎間板物質の除去をおこないます。

 

腰椎部:片側・背側椎弓切除術

背中側からアプローチし、ヘルニア部位の椎弓を切除し圧迫を解除します。

 

予防:椎間板造窓術

椎間板の線維輪を一部除去し圧を逃がすことによって突出を防ぎます。

今後突出の可能性がある椎間板に対して行います。

 

 

特にダックスフントは椎間板ヘルニアになりやすいので、

飼い主さんは注意して下さい!

記事の一覧|犬がかかりやすい病気

Berkeley Animal Medical Center All Rights Reserved.Produced by ホームページ制作会社ゴデスクリエイト