バークレー便り

院長 山本晃輝 自己紹介はこちら

免疫のお話

2013/06/24(月) ねこ院長 山本晃輝

猫エイズウイルスはヒトのエイズウイルスと近似していますが猫⇔ヒトへの感染はありません。しかしこの 『Retro viridae Lenti virus(レトロレンチウイルス)』というウィルスは様々な動物に 白血病等の重篤な病気を引き起こす原因となります。 
そしてこのウイルスは免疫系統に非常に重要な役割を担うT細胞と呼ばれるリンパ球(この内、ヘルパーT細胞と呼ばれるCD4T細胞)に感染し破壊する為、病原体の情報をその他の 免疫細胞に伝達できないという状態に陥り最終的には重篤な感染症で 死に至ります。

免疫学概略;自分の体内に侵入してきた病原体は、白血球の一種である好中球に貪食されなければ、病原菌の蛋白の一部である抗原決定基をマクロファージ・B細胞上の膜型IgM・樹状細胞といった極めて抗原認識能力の高い細胞達が補足し、それを先ほど上述したCD4T細胞へと伝えます。情報を伝達されたCD4T細胞は、その事を種々の細胞からの誘導によって一方は、マクロファージの活性を上昇させる事で貪食能を上げてマクロファージ内で菌を溶かして撲滅させ、一方は、B細胞に働きかけて形質細胞へと変化させるよう誘導し、その誘導された形質細胞は抗体を産生して菌の増殖を防ぎます。このようにして私達は様々な外来物質から身を守っているのです。

         

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